別れ話で理由を問い詰めると復縁が遠のく。その場での聞き方
「なんで?」「納得できない」と、別れの理由をその場で問い詰める。その振る舞いが残すものと、代わりの聞き方です。
別れを告げられた瞬間、「なんで?」「どこが悪かったの?」「それじゃ納得できない」と聞き返したくなります。理由が分からないままでは、何を直せばいいかも分からない。その気持ちはもっともです。ただ、別れ話の場で理由を問い詰めるのは、やめてください。理由は大事です。でも、問い詰めた場面は、相手の中であなたを「生理的に無理な側」へ押す材料になります。

別れを告げる側は、理由をぼかすもの
まず知っておいてほしいのは、別れを告げる側は、本当の理由をはっきり言わないことが多い、ということです。
人には、相手にとって悪い知らせを伝えたがらない傾向があります。1970年代に報告され、「マム効果」と呼ばれているものです。医療教育の分野でこの研究をまとめたスカーフらの論文(2019年)も、悪い評価を本人に伝えにくいという悩みを、この傾向で説明しています。
恋愛でも同じことが起きます。ボーマイスターらの片思いの研究を紹介した記事(Psychology Today、1993年)によると、断った側は、気持ちがないことをはっきり伝えたつもりでいました。ところが断られた側は、そんな合図は受け取っていないと感じていました。記事はこのずれを、悪い知らせを伝えたがらない傾向と結びつけています。相手を好きになれない理由をその人に告げるのはとても難しいだろう、とも書いています。
つまり、別れ話の場で聞く理由があいまいなのは、相手がごまかしているからとは限りません。言いにくいことを、相手なりにやわらげて言っているんです。
問い詰めると、いちばんきつい言葉を言わせることになる
そこを「本当の理由を言ってくれ」と問い詰めると、相手には二つの道しか残りません。言わずにおこうとしていたきつい理由を口にするか、その場を終わらせるために、それらしい理由をつくるかです。
言わずにおこうとした言葉が出る。言った本人もあとで嫌になる。
その場を終わらせるための理由。どちらでも、問い詰めた場面が強く残る。
どちらでも、その場面は相手の中に強く残ります。ボーマイスターらの論文「悪いことは良いことより強い」(2001年)は、多くの研究をまとめて、悪い出来事や悪い印象のほうが、良いものより影響が大きく、早くでき、あとから覆りにくいと結論づけています。私の経験では、付き合っていた間の良い思い出があっても、相手が先に思い出すのは、最後に問い詰められた場面のほうです。
相手の側から見た「問い詰め」
相手から見ると、問い詰めは取り調べです。しかも「納得できない」という言葉には、「あなたの決めたことには、こちらの承認が要る」という意味が乗ってしまいます。相手の決めたことは、相手のものです。ここがずれると、相手はあなたを怖いと感じ始めます。
ママのひとこと 結城君、うちの店の女の子たちはね、別れ話で「なんで、なんで」って聞かれると、言わないでおいたことまで言っちゃうんだって。言ったあとで自分も嫌になるのよ。それで、その人の顔を見たくなくなるの。
その場での聞き方は、一度だけ

聞いてはいけない、ということではありません。聞き方を一度だけにします。
- 「もし言えることがあれば、一つだけ聞かせてほしい」と、一度だけ聞く
- 返ってきた言葉を、そのまま受け取る。言い返さない、確かめ直さない
- 「言いたくない」と返ってきたら、それ以上は聞かない
返ってきた言葉は、その場で意味を考えなくていいんです。家に帰ってから、相手の言葉のまま書き出します。書き出し方は別れの理由を相手の言葉のまま書き出すことにまとめています。
この記事でやること
今日、「理由は一度だけ聞く。言いたくないと言われたら、それ以上は聞かない」という一文を、スマホのメモの一番上に書いてください。相手の言葉に言い返したくなったら、送る前にこのメモを読みます。それで止まれたら、あなたは相手の決めたことを尊重する側に立っています。
別れ話で相手が言った言葉を、そのまま送ってください。あなたの状況での次の一歩は、相談窓口で一緒に決めます。
料金とお申し込みの流れはこちら。
出典
- Scarff, C. E., Bearman, M., Chiavaroli, N., & Trumble, S.(2019)「Keeping mum in clinical supervision: private thoughts and public judgements」Medical Education, 53(2), 133-142 https://doi.org/10.1111/medu.13728
- Psychology Today(1993)「And You Think You've Got It Bad」(Baumeister らの研究の紹介) https://www.psychologytoday.com/us/articles/199309/and-you-think-youve-got-it-bad
- Baumeister, R. F., Bratslavsky, E., Finkenauer, C., & Vohs, K. D.(2001)「Bad is stronger than good」Review of General Psychology, 5(4), 323-370 https://doi.org/10.1037/1089-2680.5.4.323