別れ話で引き止めると復縁が遠のく理由(泣く・すがる・説得する)
別れ話の場で泣く、すがる、説得する。その引き止めが、相手の中のあなたをどちら側へ押すのかを説明します。
別れ話の場で、彼女を引き止めたくなるのは自然なことです。泣いて頼む、すがる、理屈で説得する。相談でよく届くのも「あの場でもっと粘ればよかったんでしょうか」という問いです。先に答えを言います。別れ話の場では、引き止めないでください。引き止めるほど、相手の中のあなたは「まだ好きな側」から「生理的に無理な側」へ押されていきます。

別れ話の場で、あなたの置き場所が決まる
私の経験では、気持ちが離れた相手の中で、あなたは二つのどちらかにいます。まだ好きな気持ちが残っている側か、生理的に無理な側か。まだ好きな側にいれば、あとから届けるこちらの気持ちは、気持ちとして受け取られる余地があります。生理的に無理な側に移ってしまうと、こちらが熱心になるほど、相手は怖さを感じるようになります。
別れ話の場は、この置き場所がはっきり決まる場面です。相手は何日も考えて、やっと口にしています。そこで泣かれ、すがられ、言い負かされそうになる。そのときの印象が、そのまま相手の中でのあなたの置き場所になります。
押されるほど、別れる気持ちは固まる
心理学に「心理的リアクタンス」という考え方があります。1966年にブレームが唱えたもので、自由を奪われそうになると、人はその自由を取り戻そうとする、というものです。シュタインドルらがこの分野の研究をまとめた論文(2015年)によると、自由をおびやかされた人は、不快や怒りを感じやすくなり、おびやかした相手を低く見たり、制限されそうな選択肢をかえって魅力的に感じたりします。「〜しなければならない」のような強い言い方は、「考えてみて」のようなやわらかい言い方より反発を生みやすいことも紹介されています。
別れ話の場で言えば、相手が守ろうとしている自由は「別れる」という選択です。「考え直してくれ」「それは別れる理由にならない」と押すほど、相手の中で別れる選択の重みが増し、押してくるあなたの評価は下がります。説得がうまい人ほど、逆に遠ざかるんですよ。
- 考え直してと押す泣く・すがる・説得する
- 別れる選択が重くなる相手は奪われそうな自由を守ろうとする
- 押す人の評価が下がる説得がうまい人ほど遠ざかる
- 無理な側へ押されるあとの言葉が怖さとして届く
断る側から見た「引き止め」
ボーマイスターらの研究(1993年)は、好意を打ち明けられて断った側と、断られた側の体験談を集めて比べたものです。断った側は、自分に非はないと思いながらも、相手を傷つけたことに罪悪感を持っていました。そして多くが、断られた側がしつこく続けた働きかけを、立ち入ってくるもの、うっとうしいものとして書いていました。恋人どうしの別れ話とは場面が違いますが、断る側の気持ちの動きは、相談でよく見る話とよく重なります。
別れを告げる側も、つらいんです。そのつらさの上に涙や説得が重なると、罪悪感は「早くこの場から離れたい」に変わります。その瞬間、あなたは生理的に無理な側へ一歩押されます。
ママのひとこと 結城君、うちの店に来る女の子たちはね、別れ話で泣いてすがられると「かわいそう」より先に「怖い」が来ることがあるって言うのよ。黙って最後まで聞いてくれた人のほうを、あとでふっと思い出すんだって。
引き止めないとは、相手の自由のまま終えること

引き止めないのは、投げやりになることではありません。相手の言葉を最後まで聞く。途中で遮らない。反論しない。「分かった」と受け取る。これで、その場は相手の自由が守られたまま終わります。
自由を守ってもらえた相手の中で、あなたはまだ好きな側に残りやすい。私の経験では、あとから少しずつ道筋をつくっていけるのは、ほとんどがこちらの人です。反対に、その場で押し切ろうとした人は、まず一度手を離し、相手の向きがこちらへ戻るのを待つところから始めることになります。
なお、あとから「一度話し合いたい」と送るのも、形を変えた引き止めです。これは別れた直後の「話し合いたい」が嫌われる理由に書いています。
この記事でやること
これから別れ話の場があるなら、「最後まで聞く。遮らない。反論しない。最後は『分かった』と言う」の四つを、スマホのメモに書いて決めておいてください。もう引き止めてしまった人は、それを取り返そうと続けて連絡しないことが今日の一手です。押すのをやめた時点で、あなたは相手の自由を守る側に戻っています。
別れ話の場で何があったかを、そのまま送ってください。あなたの状況での次の一歩は、相談窓口で一緒に決めます。
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出典
- Steindl, C., Jonas, E., Sittenthaler, S., Traut-Mattausch, E., & Greenberg, J.(2015)「Understanding psychological reactance: New developments and findings」Zeitschrift für Psychologie, 223(4), 205-214 https://doi.org/10.1027/2151-2604/a000222
- Baumeister, R. F., Wotman, S. R., & Stillwell, A. M.(1993)「Unrequited love: On heartbreak, anger, guilt, scriptlessness, and humiliation」Journal of Personality and Social Psychology, 64(3), 377-394 https://doi.org/10.1037/0022-3514.64.3.377