別れた後の「最後に一つだけ」のLINEが、最後にならない理由
「これで最後にするから」と送る一通が、なぜ次の一通を呼ぶのか。相手の側からの見え方と、止め方が分かります。
「最後に一つだけ言わせてほしい」「これで最後にするから」。別れたあと、こう書き出す一通を送る人はとても多いです。そして私の経験では、その一通が本当に最後になった例は、ほとんどありません。
先に結論を言います。「最後に一つだけ」は送らないでください。理由は単純で、最後にならないからです。

「最後」の一通は、次の一通の理由をつくる
送ったあとに起きることを、順に見てみます。
返事が来なければ、「届いたか分からない」「言い方が悪かったかもしれない」と思って、補足を送りたくなります。短い返事が来れば、「まだ話せる」と思って、もう一通送りたくなります。きつい返事が来れば、「誤解を解かなければ」と思って、また送りたくなります。
返事がどれであっても、次の一通を送る理由ができてしまうんです。「最後に一つだけ」は、話を終わらせる言葉のつもりで、実際には話をもう一度始める言葉になっています。
一度破った決めごとは、次を呼ぶ
もう一つの理由は、送る側の心の動きです。
お酒をやめた人が元に戻るのを防ぐ方法として、心理学者のマーラットが考えたモデルがあります。ラリマーらが1999年にまとめた論文によると、やめると決めたことを一度破る「つまずき」と、元の状態に戻ってしまう「再発」は別のもので、つまずきがそのまま再発になるとは限りません。ただ、つまずいたときに本人がどう受け止めるかが、再発に進むかどうかを左右する、とされています。この反応は「禁止違反効果」と呼ばれています。
連絡しないと決めていた人が「最後だから」と一通送るのは、このつまずきに近い形です。相談でよく見るのは、「もう一通送ってしまったし、同じことだ」と考えて、二通目、三通目と続くケースです。「最後」と名前をつけることで、決めごとを破る言い訳ができてしまう。だから最後にならないんですよ。
- 「最後に一つだけ」話を終わらせるつもりの一通
- 返事がどれでも返事なし・短い返事・きつい返事
- 次の一通の理由ができる補足・もう一通・誤解を解く一通
- 二通目、三通目と続く「もう送ったし同じことだ」となる
送る側と受け取る側で、見え方がずれる

別れたあとの連絡について、ネブラスカ大学のラングリンリクセン=ローリングらが調べた研究があります(2000年)。大事な交際の終わりを経験した大学生282人が対象です。別れを告げられた側120人の多くが、別れのあとに、相手の望まない電話や、望まない会って話す場面を、少なくとも一度はつくっていました。そして、告げられた側は、告げた側に比べて、そうした追いかける行動に良い効果があったと受け止めやすい、という結果でした。
送る側は「伝わった」「前に進んだ」と感じている。受け取る側は、そう感じていない。このずれが、「最後に一つだけ」が繰り返される正体です。
相手から見ると、「最後に一つだけ」が二回届いた時点で、あなたの「最後」という言葉は信用されなくなります。私の経験では、この「最後」が重なったところで、相手は「まだ好きな側」から「生理的に無理な側」へ動き始めます。「言っても終わらない人」と思われると、あなたの言葉に熱がこもるほど、相手は怖さを感じるようになるからです。拒まれたのに連続して送ることは、ストーカー規制法の線にもかかります(法律の話)。「話し合いたい」を繰り返すことについては、別の記事に書いています。
ママのひとこと 結城君、それはね、「最後に一つだけ」って来ると、うちの店の女の子たちは「じゃあ次も来るな」って身構えるのよ。最後って書かずに黙っていた人のほうが、かえって落ち着いた人に見えるみたい。
言いたいことは、送らずに残す
「最後に一つだけ」と思ったとき、その一つは、たいてい別れ話の場で言えなかったことです。言えなかったことがあるのは自然なことです。ただ、それを今送っても、相手には受け取る準備がありません。
言いたいことは、メモに書いて残します。書いた日付も添えておく。相手がまた話を聞ける時期が来たとき、その中から本当に必要なものだけを選べばいいんです。
この記事でやること
「最後に」「これで最後」で始まる下書きがあれば、今日、メモに移して送信画面から消してください。もう送ってしまった人は、次の一通を送らないことが今日の一手です。返事がどうであっても送らない、と先に決めておきます。それを守れた日は、相手から見て「言ったことを守る人」に一歩戻れた日です。
あなたの状況で、言いたいことをいつ伝えるかは、相談窓口で一緒に決めます。
料金とお申し込みの流れはこちら。
出典
- Larimer, M. E., Palmer, R. S., & Marlatt, G. A.(1999)「Relapse prevention: An overview of Marlatt's cognitive-behavioral model」Alcohol Research & Health, 23(2), 151-160 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6760427/
- Langhinrichsen-Rohling, J., Palarea, R. E., Cohen, J., & Rohling, M. L.(2000)「Breaking up is hard to do: Unwanted pursuit behaviors following the dissolution of a romantic relationship」Violence and Victims, 15(1), 73-90 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10972515/
- e-Gov法令検索「ストーカー行為等の規制等に関する法律」第2条第1項第5号 https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0100000081